標高2000メートルのプードル その1
プードルという動物がいる。一応「イヌ」に分類されているらしいのだが、あれは「プードル」という別の動物である。
知り合いから「高山植物」の撮影の依頼を受けた。一応私は「フリーカメラマン」も自称している。
まぁ、「写真も撮れますよ」というくらいのレベルで飯の種のひとつである。
撮影内容は「エーデルワイス」、
スイスまで行けると思ってはいけない。日本にも「薄雪草(うすゆきそう)」という種類で高山に数種類自生しているのである。
この手の「資料的撮影」は好きな方である、自分の「お作品」である写真が未来永劫に「名無しさん撮影」として残るのはなんとなくうれしい。
石灰岩質の高山に咲く花で、開花時期は梅雨の終わりから初夏にかけてである、
梅雨時の石灰岩の山なんかには誰だって行きたくはないのである。
事前に植物園や山野草を扱う店で園芸品の「現物」を見ておく、自生種とは多少は違うが特徴を資料にしておく。
お山のてっぺんまで行って見つけられない、あるいは別なものを撮ってきたのでは話にならないからである。
山は計画を立てているときが楽しい、準備なども楽しい。
地図でルートを立てて、まだ見ぬエーデルワイスのお花畑に思いをはせた。
つづく
標高2000メートルのプードル その2
世界中に「イヌ」の種類は数多くあるけどサーカスで芸をするのはプードル
いよいよ撮影山行の日が来る。車で下山口まで行き温泉宿に預けておく。
「〇〇連峰を縦走して〇日に下山します、×日までに降りて来ないときは遭難していますから。」
車の中には一応遭難したときに必要な資料が一切入っている。
俺の死体ほど見つけやすいものはないよと、いつも自負している。
登山口までは電車とバスを乗り継いで行く。天候は悪くは無いが、天気図は少々不安な予感がする。
登山道から沢筋に降りると低山性の「うすゆきそう」をたやすく発見できた。
薄雪草(エーデルワイス)は「うすゆきそう」と「深山(みやま)うすゆきそう」に分けられ、高山性のみやまうすゆきそうは山ごとに特徴が違うという。
ほうほう、出足は好調ですね。風景なども撮っておく。
霧が巻いてきたので撮影は切り上げて某山小屋まで一気に登る。
山小屋には少し早くつき過ぎたようだ、暇つぶしに薪割りなどを手伝って夕食を待つ。
夕焼けが出そうだったのであわてて撮影機材を取りに戻りセットする、
下界は霧の雲海であったので、まぁ、良い絵になったかな。
山の日の出、日の入りのベスト撮影は一瞬だからグズには撮れないんだよ。
今回の撮影行は出足が良いので付いている。などと思い夕食を待つ。
つづく