白き狼 ハスキーは甘えん坊 その38
オーカミがいなくなったのでブラシや食器を洗ってひとまとめにし物置きにしまう。
小屋代わりのテントを撤収する。オーカミが自分の体に合わせて掘り固めた穴を埋め戻す。
(本物の狼も穴を掘り巣にするらしい、素穴の周りを散らかす事が狼藉の語源とテレビで知った。)
死に顔と今まで撮った写真のベストショットを遺影として大伸ばしにするため街の写真店に行く。
土のう袋のような巨大なドックフード(バカ食い犬用)が買い置きがいくつかあったので一緒に車に載せる、
写真店の帰りに地元の所轄警察署に寄り、迷子犬用にとドックフード(バカ食い犬用)差し入れする。
一時保護の迷子犬は出前の残りや警察官がポケットマネーで買ったドックフードを与えていると聞いた事があったからである。
拾得物係の警察官はたいそう喜んでくれた。
「捨てられて保健所に送っちゃう犬も結構いますよ、ワンちゃん死んじゃって寂しいでしょう、
欲しいのがあれば連絡しますから。 どんなのでも来ますよ。」
「いや、しばらく犬はいいです。あの犬を越える犬はいないでしょうから・・・(笑)」
つづく
白き狼 ハスキーは甘えん坊 その39
オーカミが我が家にいた痕跡はなくなったが、なんかそこいらで聞き耳を立ててこちらの様子をうかがっている気がする、
飼い主の入院している病院に電話するがリハビリ中だと言うので伝言を頼む。
「お預かりしていたハスキー犬が昨夜亡くなりました。寝ているように静かに旅立ちました。
後の事はお任せ下さい。」
何か仕事が手につかない、ああそうだオーカミの巣(犬小屋代わりのテント)のあった場所はもともと駐車スペースだったんだ、
月極の駐車場を解約しなくちゃ。など余計な雑用を見つけてはサボる口実とした。
もともとは車の横にオーカミが居候していたのだが、トーチカのように車の下に穴を掘り、
そこを自分の巣穴にしてしまい、さらにバックで車を入れる度に妻がオーカミが轢かれないようにと押さえ付けていなければならなかった。
妻が出かけていて居ないときは、
車で帰宅→門を開ける→オーカミ大喜び→押さえ付けて隣の公園まで連れていき桜の木に縛り付けておく→
オーカミ捨てられると思って遠吠えを始める→車をしまう→オーカミを連れ戻す→オーカミ散歩かと勘違いしてわくわくオーら全開→
しかたないからその辺を一周してごまかす→オーカミ物足りない→「オフオフ」→「だまれバカ犬!」とののしる。
これでは一々とても大変なので駐車スペースをオーカミに明け渡して車は月に4000円もする駐車場を借りていたのだ。
ああ、バカ犬は金がかかるわい・・・・
つづく