白き狼 ハスキーは甘えん坊 その36
オーカミが突然逝ってしまったけど悲しんでばかりはいられない。
この巨大な亡骸をどうにかしなくてはならない。
桜の樹の下にちょっと埋めるとはいかない大きさなのである。
保健所に電話すると、市役所に聞けと言うので市役所に電話する、
クリーンセンターに持ち込めば焼いてくれるそうだが他のゴミと一緒で完全に灰になるまで焼却してしまうそうだ。
いくらなんでも人様から預かっている犬である、動物霊園を紹介されたのでそこに電話する。
「火葬のお値段はわんちゃんの大きさによって変わります、どのくらいのサイズですか?
紙製の組み立て式のお棺によって料金が決まっているのです、ネコちゃんサイズとか座敷犬サイズとか柴犬サイズとかレトリバーサイズとかありますのでおっしゃって下さい。」」
「はぁ、おそらく最大だと思います」
「シェパードクラスですか?」
「いや、もっと大きくて人間くらいあります。」
「大丈夫ですよ、ボクサーやバーナードでも(棺桶)入りますから」
「あのぉ、ハスキーの大きいやつでマラミュートとかいうやつらしいのですけど・・・」
「うーん、・・・とりあえず一番大きいの持ってうかがいます。」
つづく
白き狼 ハスキーは甘えん坊 その37
ペット霊園の人が来た。
玄関先に死体が放置と言うのが珍しかったようで少し(あからさまに)とまどっていた。
ペット霊園で扱う飼い主さんはベタ可愛がりの人が多いらしい。
「かくかくしかじか」と事情を説明する。「はぁ、それで」
御葬式(?!)と霊園墓地の説明を受けるが「あっ、いらないです、焼くだけでいいです」
と断るが、相手もそれ以上は説明しなかった。
段ボールの組み立てしきお棺を組む。ちょっと窮屈だけどオーカミでもどうにか納まった。
丸くなって寝ているようである。
やっぱり静かなオーカミというのは信じがたい。どんなに熟睡していても人が近付くとすぐに全開100パーセントだったからである。
「夕方にお骨の方をお持ちしますから」と霊園の車は去っていった。
なにも無くなると静かである。
つづく