標高2000メートルのプードル その7
プードルをまのあたりにした人はみんなが可愛いと思う。そしてそれはプードル自身も知っている。
林道は通行する人も誰もおらず野鳥のさえずりをBGMに鼻歌まじりで進んだ。
若い人のいるパーティーだと登りは遅いのに下りはシャカシャカと早いから膝が痛くなって嫌だ。
下りに林道や交通機関を利用する方法は良く使うようになった。
「ヤマ」は一度疎遠になると行く気が失せるものである、細く永くつきあいたいものだ。
視界の隅に白いものが動いた。
山での好奇心はロクな結果を生まないから無視して通り過ぎる。
通り過ぎたあと明らかに私の後を追ってくる気配がする。
「オオサキか?」
オオサキとはオサキとも言い、オコジョという小型の肉食獣のことである、
古来より「オキツネ(狐)」とともに人間にとり憑くとされている。
冬になるとオコジョは真っ白な冬毛になる、シッポの先だけがちょこんと黒い。
本当は狐やオコジョは非常に好奇心が旺盛な動物で一人で山にテントを張っているとその周りをウロウロしている事が良くある。
やがてその「気配」は私を追い抜き白い実体として前に姿を見せた。
ガリガリにやせた小型犬のようである、おまけに毛の一部が変な色に染められている。
私の行く手をさえぎるようにこちらに正対してシッポを振っている。
ここは、標高2000メートル付近である。あれは幻に違いない。
どうせ幻なら雪女のように絶世の美女の方が良かったのに。
シッポを振り続ける「モノノケ」を無視して先に進むとさらに私を追い越してずっと先まで行ってしまった。
「この辺に民家でもあるのかしら」
つづく
標高2000メートルのプードル その8
犬は木に登らないと思っていないか? プードルはおだてると木登りする。
下って行くと先ほどの白い犬は道のまん中に倒れていた。
死んでいるようである。
近付いてしゃがみ込むと犬は薄目を開けた。
「どれどれ」と手を出すとここぞとばかりに起き上がり悲しそうな声をたてた。
「腹減っているのか?」
ザックを降ろすとさっきまで「死んでいた」のが嘘のようにとびまわっている。
非常食のゼリー飲料を取り出して犬に吸わせた。
しばらく食事を採っていなかったのだろうか、チュウチュウとゼリーを飲み干した。
みすぼらしい小型犬でガリガリに痩せている。
毛も飼い主が自分で刈ったのであろうかザンギリというか、トラ刈りである。
とうとうゼリー飲料を1パック飲み干してしまった、まぁ、この先遭難する事も無いだろうからいいとしよう。
犬は満腹になったのにもかかわらずに私の後をちょこちょこと転びながら付いてくる。
「飼い主とはぐれてしまったのかい?」
ザックを降ろしてスタッフバック(荷物を小分けにするナイロン製の小袋)を取り出して犬を首だけ出して詰める、
ザックの天フタのところに犬入りのスタッフバックを入れてふもとまで降りる事とした。
途中にスキー場のリフトで一本とり犬の様子を見るがちゃんと生きている。
バックに詰められてもじたばたしないのは体力が無いのか、身をまかせているのかはわからない。
それにしても貧相な犬である。世の中の不幸を一身に集め凝縮したようである。
「♪もーもたろさんももたろさん、お腰に付けたキビだんごひとつ私にくださいな・・・」
つづきが思い出せない「あげましょう、あげましょう」だったかな、そのあとは・・・・やっぱり出て来ない。
まぁよい、鬼が島に行くのではなく温泉宿でくつろぐだけだから、犬も猿もいらない。
桃太郎の話も良く思い出せなくなってきた。爺さんがかぐや姫を見つけて婆さんが桃を見つけるのだったっけ?
どうでもいいや。
つづく
807 名前: ぬこぬこななしさん 投稿日: 2006/06/27(火) 02:59:45 [ Ob1xFp.6 ]
寝ようと思ってここ見たらいいタイミングで!
「あげましょうあげましょう これからおにの○○○○についていくならあげましょう」
○部分が思い出せないよママン(泣)
808 名前: ぬこぬこななしさん 投稿日: 2006/06/27(火) 03:09:31 [ F0BPrQhc ]
>807
征伐じゃなかっただろか。
うちにもプードルおりますです。
奴は自分が可愛いということをわかっております。
飼い主の心を読む甘え上手でもあります。
809 名前: ぬこぬこななしさん 投稿日: 2006/06/27(火) 03:34:32 [ mPrTci0g ]
>>807
「征伐」じゃなかろうか<○部分
812 名前: ぬこぬこななしさん 投稿日: 2006/06/27(火) 14:36:52 [ gUjJ4jbY ]
3:
行きましょう 行きましょう
あなたについて どこまでも
家来になって 行きましょう
4:
そりゃ進め そりゃ進め
一度に攻めて 攻め破り
潰してしまえ 鬼が島
5:
面白い 面白い
残らず鬼を 攻め伏せて
ぶん取り物を えんやらや
6:
万々歳 万々歳
お伴の犬や 猿雉は
勇んで車を えんやらや